[硝子の落ちる音に混じり耳鳴りのように響いていた夢の声や、血の匂いがふと薄れる頃合いだっただろうか。足を止めたのは目の前に巨躯の影が現れたからで
それが「鳥居」だと気付くには少しの間を要した]
…じん、じゃ、かな、
神、様って、信じる方?はは、
[息すら喉に張り付いていて、言葉が途切れ途切れになる
ここは少し、他との空気が違うような気もして
ずるずると鳥居に凭れるように腰を下ろした
リュックから水を取り出し喉を潤す
カナさん飲む?と彼女が飲み物を忘れてきているのなら
飲み口を袖で拭き取り渡すつもりで]