>>176秋月
[眉間に近づいた指先に瞬き一つ、二つ。
そして、深く被った帽子の先にある双眸に、頭蓋の奥が痺れる感覚。
何かを見抜かれたような、謎を追い求める探偵の嗅覚に見つかったような。
触れることのない指先が脳髄を射抜き、掻き回させるような。
そんな刹那の機微も。
探偵が、嘘を見つけ、見透かし、見抜くことが得意なら。
女優は、嘘を被り、隠し、振る舞うのが得意だから。
漣を装い、あなたに穏やかな微笑みを。]
あはは、そっか…非日常な事件があれば、名探偵の出番だね。
なら、その思い出の舞台、私も上がらせてもらおうかな。
[ただ不思議なことに…先程の感覚は、悪いものではないようだった。]