>>161
[彼女の嫌な予感は、きっと当たる。
行かないでという言葉に頷くことはできない。
きっと戻ってくると約束することも、またできない。
私は行かなければならない、そして、戻ることはないだろう。
涙を流しながら、ぽつぽつを言葉を紡ぎ、私が好きだと言ってくれる彼女。
彼女を現世に引き留める縁としての私が、存在できなくなるのは残念だけれど。
その彼女を繋ぎ留める手すら、こんなに冷たいのだから。
この冷たい手は、彼女を現世に繋ぎ留める楔としては、あまりに脆く心細いもののように思われるから。
こうして離れた方がいいのだ。
千切れかけた命綱に全体重を預けたら、後は落ちていくだけなのだから。]
私は他の方の安否も気になりますので、どこにも行かないということはできません。
けれども百千鳥さん、あなたの暖かな手は、私以外の誰かと繋がれることも、きっとあります。
人を恐れないで、あなたは勇敢で優しい、自分を信じてください。
そして自分が信じたいと思った人を信じて、沢山の人を信じてください。