――……お兄ちゃん!!
『あぁ。来てくれたんだな』
お兄ちゃん!会いたかった!
……凄く、会いたかったの……。
[縋りついて泣いていたら、頭を撫でてくれて。]
『お互い積もる話は色々あるだろうけど、
それは歩きながらにして、
早く新恵ちゃんの所に行ってあげよう』
――……うん。
[兄の言葉に頷いて、幼い時の様に、手を繋いで歩きだす。
『入口を出るまで絶対に俺の姿を見ないでくれ』
と言われたから、視線は前を向いて。
10年前に何があったのか聞きたかったけれど、先に私の話をする様に促されたから、その通りにして。]