小説家 深瀬賢

[数多の気配も気にすることなく、ゆっくりと歩を進める。

男の耳にはどこかから、軽やかな歌声が聞こえていた。
手鞠歌だろうか。幼い少女が歌っているようだ。]

　一の神子様　人払い
　二つ神子様　肉を召し――…か。

[肉を召す。まるで自分みたいじゃないか。
笑う口元が微かに光った。]