[濃い霧に包まれた後。
気が付けば、そこは、先程地図で示された>>104山の中。
傍には、鳥居の様に二本の石碑が立っていて、上部にしめ縄が渡されている。]
――……ここ。
[今思い出した。私はこの場所を、兄から聞いた事がある。
村に、死者の国と繋がっていると、噂される場所があると。
『なぁ。父さんと母さんに会いたいと思う事、ある?
あ。いや、何でもない』
って。そんな事を、聞かれたっけ。]
[導かれる様に石碑をくぐり、暫く霧の中を歩くと、前方に蹲っている人影が見えた。
それは良く知る、兄の広い背中。]