[懐中電灯で周囲を照らす。遠く遠く、霧の向こう、ぼんやりと人影が歩いているような気がする。霧の向こうに死者がいる。会いたい死者がいる人は、その人に会えたのかしら。ゆるりと光を動かした。十年前のお祭りでも、そういう望みは叶えられたのか。首をかしげて考える。余所者には参加できない村のお祭り。記録なら、どこへあるだろう。役場はあまり探せなかった。]……神社、とか、どうかしら。[方向を確認し、歩き出す。]*