[そうして女は、暫し歌に耳を傾けた。“いつだって遺される方が辛くて強くなった“ふり”をするのぼくだってさそりの火になりたい”その声に覚えがあるような気がした。確証はなかった。女は彼女の歌を聞いたことがなかったからだ。それでも。]君の最期はカムパネルラのようだけれど、君の生き方はジョバンニのようだったな。[例え話として、合っているかは分からないけれど。友の死を背負って生きようとした、懸命な少年の姿は、あの女性の生き様によく似ている気がした。**]