[結局、彼は生きてはいない。自分はこうして生きている。そういう意味では交わることも添い遂げることもない。
しかし、男は悟った。自身が本当にやりたいこと、叶えたい夢を。
彼の傍にいたいとか、愛されたいとか、そんなじゃない。
彼の名を遺したいのだ。広めたいのだ。
それが叶った後、自身が彼とどうあるかは、実に些細だ。
だから男は歩き出す事が出来た。
狂っているからこそ。狂おしく、彼を想っているからこそ。その隣に自身の存在など望まない]
僕はやり遂げる。
[身体がまた闇に包まれ、彼がーー男が彼だと思っている闇が戻ってきた。もしそれがなかったとしても、男は歩んでいただろう。
男はその重みよりも、自身の想いに突き動かされていた]**