……キミ、ゴクウはさ。ボクに夢見てたでしょ。どういうのなんかは知らないけれど。
そうじゃないと、好きだなんて好意的な事言えないって言うのは、ボクにだって分かる。
キミの夢を壊したくないの。ボクは。
それが恐い。嫌われるのなんて慣れてる。
けど。一度好きだと思った相手から覚めてしまうのが。言ってくれた相手を覚まさせてしまうのが、ボクは一番恐い。
嫌われても仕方ない。それ位ならまだ良い。
思い返される事すら無くなるのが、本当に嫌。
そもそも、キミがそこまで言う理由だってボクには分からない。
そんなに、どうして踏み込もうとする訳。互いに心地の良い、夢見たままの関係ではいられなかった訳?
理由を、教えてよ。
[それは、まだ恋慕の事すら知らない未成熟な精神には、分からぬ事だった。
無条件の親愛ですら、貰えた事のない子どもには。想像すら出来ない事だった]