っ、影が、いっぱい……っ[思わず、引き攣った声を漏らす。黒い影がたくさんテーブルに、ホールに、動き回っているのが見えた。ざわざわと、声が聞こえる。何を言ってるのかまでは、分からないけど、でも、影たちの声だと、そう分かった。さっきみたいに、頭が痛くなるほどの騒音じゃないのに、少しだけ安堵して、けれども、この影たちも怖い。なんだか、気持ちが悪い。だから――]ち、違うとこ、行こう?たぶん、湖月さん、ここじゃ、ない……っ[そう言って、つないでいた手を。深瀬さんの手を、引っ張った]