星狩りの国

60 【半身内】星狩りの国14村再戦企画


魔法剣士 リベリオ

「へ?」
 何が起こったのかわかっていなさそうなダニーの背後で、帽子が壁に縫い留められている。あれは、イルムヒルトの針だ。

「無闇に撃ってはいけない、と言っただろう? もう忘れたのか?」

 ぎぎ、と軋む音がしそうな動作で声の主の方を向いたダニーは、静かな怒りを発露するイルムヒルトと目が合った。
 じり、とダニーが一歩下がれば、イルムヒルトが一歩距離を詰める。プレッシャーに耐え切れなくなったダニーが駆け出すが、数回瞬きした頃には取り押さえられていた。

「ちょ、絞まってる! 首絞まってるから……っ! ぐえっ」
「灸を据えるとも言ったはずだ」

 イルムヒルトから逃れられる筈がないのに馬鹿だな、と呆れた目で見ているのは俺だけではない。調子に乗せたのは博徒共だろうに、助ける様子もなくゲラゲラと笑っている。

「酔っ払いというのはどうしようもないという」
「酒場だからな」
「酒場だからねえ……」

 同時に言ったチェスティーノとユスターシュは顔を見合わせた。

(63) 2022/10/06(Thu) 17:21:14

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