[遠い記憶。 懐かしい過去。 時々思い出して取り出す間隔さえ、だんだん景色が遠のいて、その時の感情さえも思い出す時には微かな痛みを伴うもの。 それが青春なのだと、心だけは大人になってしまった自分にはわかっているのに。] 忘れたくないわね。ずっと。[この光景も、自分の気持ちも、瞬間を切り取って一枚の写真に収めてしまえたら良いのに、動き出した時を前に、そんな機械など持たない自分は、無力だった。 だからせめて、忘れないようにと、耳を澄ませて、目を凝らした。]