終わったわね。
[永遠に続くかのような茜色は記憶の彼方に消え、ガラスの向こうの目の覚めるような青と、夏の始まりの温度を感じさせる陽の光とが、夢の終わりを知らせてくる。
どの時代でも、どの場所でも、沈んだ日はまた昇り、願う者も望まぬ者も、誰もが明日へと連れて行かれる。
……それが、あるべき時間の流れだ。]
ふふ、すっかり熱中してしまったわね。
こんなに楽しかったのは、久しぶりだわ。
[最後の修学旅行は、もちろん楽しかった。この後に着いた目的地では、みんなで騒いで、笑って、恋の話も色々聞いた。]
(でも、こんなこと、あったかしら?)
[糸を少しずつ手繰り寄せるように、自分の記憶を辿ってみるけれど、思い出せない。
今の自分の脳裏に鮮明に残るのは、クラスメイトと時間を忘れてゲームで盛り上がったこと。
記憶のどこにもない、彼らの真剣な、でも楽しそうな顔。]