映画を観ることが好きだ。その間は別の世界にいられるからだ。好みの差異はあれど、語れる程度の知識を持てど、何でもいいという根本は変わる気がしなかった。 瞼を伏せ脱力したように体重を右横に倒せば、何の抵抗もなく身体はソファに落ちる。視界に揺れる赤髪を映す。ローテーブルには透明なグラスとプラスチックのカップ。 兄はもう眠ったようだ。意味もなく欠伸を噛み殺せば眼に薄膜が張る。ゆっくり立ち上がり、連れ立って寝床へ向かった。*