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エンドロールが流れる。感想はその間に零すのが通例だった。むしろそのタイミングしかなかった。一方はヒロインの端正な所作に見惚れ、噎せ返るような潮の匂いを映像だけで感じ取ってほうと息を吐き、一方は、報われないと分かっていて主人公に逢いに来たヒロインの執着と、どうしようもないやりきれなさに唇を真一文字に結んでいた。
最後に監督の名前が中央に表示さればこの映画は終わりだ。その文字列を機械的に視界に映してレコーダーとテレビの電源を切った。
────真っ黒な画面に人影が映る、この瞬間がどうしても。