[暫くの間ムツキさんの遺体の前で蹲り続けた湿った土の匂いと血の匂いが染み付いたままぐすぐすと顔を上げて、このままでは行けないと彼女の亡骸に敷物を被せる。風で飛ばないよう石を拾い、少しでもムツキさんが汚れないようにと覆って] ………っ、ぐ、ぅ…ひぐっ…… [涙とか鼻水とかを拭っても焦燥した色は落ちない言葉も紡げず、ただ誰かに会わなければと足を進めた 「人が死んでしまった」 皆で生きて帰ろうと縋った願いはいとも簡単に崩れ去ったのだ]