[悪知恵だけがくるくると回る中。
その思考の中に、醤油の香ばしさが混ざって溶けた。]
…おっ。
[その仮設テントに書かれた>>0:6店は、
馴染みがあったかもしれない。
そこで、混ざりあった香りに閃きが灯される。]
玲音サン、こっちに出すって言ってたっけ。
いるかな。すみませーん。
[向こうはコチラの顔を覚えているだろうか。
自分、…というより、きっと両親のほうが、
キッチンカーを見かけたときに、顔をあわせていた筈だ。
職場結婚だった両親は、この街を始めとして、
色んなところで盃を交わしていた筈で。
きっと、星空の下、彼女の店での逢瀬も幾ばくか。]