週末、深夜の恒例。親が寝静まったあと好きな飲み物を片手にソファに座る。風磨は左。健人は右。特に示し合わせたわけでもないが利き手がぶつからない位置に収まった。外の世界を硝子窓とカーテンで切り離し、古ぼけたケースからディスクを取り出し、テレビを点けレコーダーを作動させればもう何も聞こえない。 兄が借りたという映画はもう50年近く前の作品で、レンタル仕様にあつらえたカバーのビニールは黄いろくくすんでいるしタイトルは色褪せていた。