えっと〜? この辺って聞いたんだけどな……。
[大きめの紙袋を抱えて見回す。
器屋のおっちゃんに聞いた、あの美味しかった土手煮というものを出す食事処を探しているのである。
そこへ、そよ風にのって鼻をくすぐるのは。]
あっ、この味噌の感じ…
[甘辛い味噌がちょっと焦げた香ばしい匂い。
これから冬って感じをさせるおでんの出汁の匂い。
あれ? なんかこの組み合わせ、覚えがあるような。
もしかして来たことあるのか、オレ?
曖昧な記憶を探りつつ、あたたかな灯りの漏れる仮設テントに向かうと、店主だろう女の人…おばさ…おばちゃ……んん、これは……!!]
おねーさん、ちょっといいか?
[と、客と会話してなさそうな時に声をかけた。]