小説家 深瀬賢

―村内とある路地―

[誰かの気配を感じて、ふと霧の向こうに鋭い視線を向ける。
決して油断はしない。
息を殺し様子を窺いながら、慎重に近づいていけば――…、]

　新恵ちゃん？

[そこに居たのは、探していたはずの少女。
転んだのだろうか>>3:150
土のついた服を見れば、心配して駆け寄る。]

　大丈夫だった！？
　でも……良かった、君が無事で。

[だって……この子は、彼女が気にかけていた子だから。
三人で手を繋いで歩いていた頃を、今では遠い過去のように感じてしまう。]