ー沙汰春夜・応戦中ー
>>148
[何やら不気味な気配を感じ、女はそちらに視線を向けた。
と、その刹那。
ぶつり
不吉な音が響き。
女の右手は、箒ごともがれてしまった。
痛みは感じなかったが、衝撃に瞬いた。
武器どころか、利き手を失ってしまった。
いや、それよりも、生きているようなのに、あの気配は。]
死人か…?
[追いかけて正体を確かめたかったが、数多いる怪異はそれを許さない。
女は割れたガラス片や、瓦などを武器にして、慣れない左手で応戦しながら、その人ならざるような気配が遠ざかるのを感じていた。]