ー公園付近から籠宮家へー
[女は怪異を引き連れ、走った。
何故か?武器がないからだ。
幸いというべきか、さほど離れていない民家に箒を見つけ、それを手にとって応戦する。>>14
怪異に物理攻撃が効くのか、という問題については、普通は効かないものなのかもしれない。
しかし、女もまた怪異。ありったけの力と意思を込めて箒を振れば、当たった怪異はうめき声を上げ、のたうつ。
逆も然りだ。怪異が女に襲いかかれば、女の身体は悲鳴を上げ、裂ける。
怪異が霧散すれば、耳障りの悪い悲鳴のような音と共に、血飛沫が辺りに撒き散らされた。
女が損傷すれば、悲鳴こそ上がらないものの、耳障りの悪い打撲音が響き、骨の軋む音がした。
女は怪異を何体か打ち倒したが、宵闇という男性に憑いていた怪異は数多く、あまり減ったようには見えなかった。
女と怪異の攻防は、今暫く続くだろう。
その戦いが起こっている民家の中で、別の事件が起こっていることを女も怪異も知らなかった。]