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[何とか引き留めることには成功したようだ、が、彼の周囲の怪異がこちらを向いた。
土地由来のものではないから、仲間だという認識も薄いし、襲われたら無事では済まないだろう。
生憎、死んでいるとはいえ生身なのだ。死体は損傷する。
そんな姿を見られれば、今度こそ逃げられる。
私は手短に、用件を話すことにした、ついでに彼からいくらか、怪異を引き受けてもいいだろう。
私は土地に由来する者には死んでもらおうと思っている。
土地由来の者が生きている限り、死者を呼び寄せ、同じようなことが何度でも起きる気がするからだ。
でも彼がただの霊媒体質ならば、この村には関係がない。むしろ守るべき存在だ。
生きて帰してやりたい、そして彼女を連れていってはくれないだろうか。]
私は佐田春夜という。彼女とは百千鳥という女性だ。
公園で動けなくなってしまっている、助けてくれないだろうか。
私では力不足で、何もしてやることができないから。
[宵闇と名乗った男性の顔を見据えて、そう告げた。*]