>>32
触るな。
[一言、拒絶の声。
それでも触られたなら、振り払いなどはせずに、手を握った。]
分かるか。この死の温度が。私は死んでいる。
私は春陽の妹だ、元々、死んでいた。
この霧の影響で現世に戻ったが、身体が生を取り戻すことはなかった。
春陽などでは、などと考えないように。
私達は元々双子。似ていて然るべきなんだ。
この冷たい手は、私の手。春陽の手ではない。
勘違いしないように。
春陽はここにいない、君の元へ帰らないだけだ。
それを憂いて妙なことを考えれば、春陽が悲しむぞ。
[そう言った。実際は春陽の身体だが、それを悟られたくはなかった。**]