ー佐田実家付近にてー
>>26
[ああ、この声は。
女は内心で絶句した。辟易したと言い換えてもいい。
そちらを見なくとも分かる。春陽と共に行動していた、百千鳥という女性だ。
妙に私に共感するところでもあるのか、私の声を拾ったり、記憶を共有することがあったようだ。
そのためか知らないが、私の感情すら彼女に乗り移ってしまったのだろうか、妙に春陽の側に居たがっていたのを覚えている。
春陽の死に触れさせたくなくて、妨害したのに。
彼女が境界を乗り越えないよう、努力したつもりであったのに。
結局、ここまで来てしまったのか。
今から彼女が戻れるのか、私には分からないが。
言葉をかけて忠告してやるくらいのことはできるだろう。]